太陽電池の出力特性と最大電力点(MPP)
太陽電池はFig.1 (a)に示す電流-電圧特性(

(a)
Fig.1 太陽電池の有する出力特性の概形
Fig.1 (b)より、太陽電池は出力電力が最大となる動作点
等価回路パラメータによる最大電力点の表現
太陽電池の出力特性は等価回路モデルにて表現されます。本章では、等価回路パラメータにて最大電力点がどの様に表されるのかについて説明します。太陽電池の等価回路モデルについては以下の記事で詳細に解説を行っていますので、是非併せてご参照下さい。
理想的には、太陽電池の出力特性はFig.2に示す電流源とダイオードからなる等価回路にて表されます。

Fig.2 太陽電池の理想等価回路モデル
この等価回路モデルにおいて、
また、電圧
であり、MMPにおいて
となります。ここで、
をみたすときであり、Eq.(3)とEq.(4)より最大電力点電圧
Eq.(5)は
ランベルトのW関数については以下の記事で詳細に解説していますので、併せてご覧下さい。
なお、実際の太陽電池には並列寄生抵抗

Fig.3 寄生抵抗を考慮した太陽電池の等価回路モデル
寄生抵抗を無視したFig.2の等価回路モデルの場合、最大電力点はEq.(6)に示したようにランベルトのW関数を用いることで解析的に表現することが可能でした。しかし、Fig.3の寄生抵抗を考慮した回路モデルの場合、最大電力点を解析的に求めることはできません。Fig.3の回路モデルより、最大電力点におけるダイオード電圧
前述の通り、上式を解析的に解くことはできませんが、Eq.(7)を
最大電力点と日射強度・温度の関係
太陽電池の
日射強度および温度に対する

(a-1,2) 日射強度
Fig.4 太陽電池の
Fig.4 (a)に示すように日射強度が増加すると最大電力点電流が上昇し、最大取得電力
MPPTを行う方法(アルゴリズム)は複数存在し、代表的なものとして
なお、最大電力点に対する動作点の一致度合いは出力利用率(UUF: Useful utilization Factor)という指標で評価されます。ある動作点の出力電力を
MPPT制御については、後日別途解説を行います。
まとめ
太陽電池には最大電力点と呼ばれる、取得電力が最大となる動作点が存在します。本記事では、太陽電池の等価回路モデルに基づいて最大電力点が等価回路パラメータにより表現できることを示しました。
最大電力点は日射強度・温度に応じて変化するため、太陽電池の効率的利用には動作点を最大電力点に保つ最大電力点追従制御(MPPT制御)を行う必要があります。MPPT手法は複数存在し、山登り法と呼ばれる古典的な極値探索手法が良く用いられます。
参考文献
[1] 池野孝, 内海淳志, 平地克也, 中川重康, “太陽電池の等価モデルを用いたI-V特性推定型MPPTの提案,” 電気学会論文誌B, vol.138, no.8, pp.514-520, 2018.
DOI:10.1541/ieejpes.138.514
[2] 板子一隆, 森武昭, “独立型太陽光発電システムにおける最大電力点追跡のための一制御方式,” 電気学会論文誌D, vol.123, no.12, pp.1537-1543, 2003.
DOI:10.1541/ieejias.123.1537

コメント